J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。

岩政大樹が振り返るファジアーノでの2年間と昇格プレーオフ

■リンクしていたプレーオフと2年間

 

 冷静に振り返ると、プレーオフの戦いと2年間の戦いがリンクしていることが分かります。
 準決勝では、終始苦しい状況の中で団結と結束で劇的な勝利を掴み、決勝では「いける」と思った矢先に隙や甘さを露呈しました。

 ここに学ぶべきはディテールが勝負を分けるということ。そして、そのディテールとは日常によって決まってくるということだと思います。

 岡山での2年間の終わりは悲しいものでした。思い描いた美しい形ではありませんでした。しかし、ちょっとだけ僕はこれで良かったと思っています。僕たちは、苦しい時を日常によって乗り越え、良い時を日常によって手放してしまいました。そして、そのほんのちょっとの日常の隙が勝負を分けることを、言葉ではなく、経験として知ることができました。それが100年続く岡山の歴史の一部になり、DNAに刻まれたことを願います。

 僕は、勝負の神様は日常の中で、2つの状況で僕たちを試しているように思います。良い状態の時と苦しい状態の時。
 勝負を決する試合では、正直にその答えを示されます。

 試されているのは日常です。その答えが勝者のメンタリティと呼ばれます。

「勝負の神様は細部に宿る」

 よく聞きます。間違いありません。併せて僕は、

「勝負の神様は日常に在る」

 と断言できます。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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