J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。
岩政大樹が振り返るファジアーノでの2年間と昇格プレーオフ
■リンクしていたプレーオフと2年間
冷静に振り返ると、プレーオフの戦いと2年間の戦いがリンクしていることが分かります。
準決勝では、終始苦しい状況の中で団結と結束で劇的な勝利を掴み、決勝では「いける」と思った矢先に隙や甘さを露呈しました。
ここに学ぶべきはディテールが勝負を分けるということ。そして、そのディテールとは日常によって決まってくるということだと思います。
岡山での2年間の終わりは悲しいものでした。思い描いた美しい形ではありませんでした。しかし、ちょっとだけ僕はこれで良かったと思っています。僕たちは、苦しい時を日常によって乗り越え、良い時を日常によって手放してしまいました。そして、そのほんのちょっとの日常の隙が勝負を分けることを、言葉ではなく、経験として知ることができました。それが100年続く岡山の歴史の一部になり、DNAに刻まれたことを願います。
僕は、勝負の神様は日常の中で、2つの状況で僕たちを試しているように思います。良い状態の時と苦しい状態の時。
勝負を決する試合では、正直にその答えを示されます。
試されているのは日常です。その答えが勝者のメンタリティと呼ばれます。
「勝負の神様は細部に宿る」
よく聞きます。間違いありません。併せて僕は、
「勝負の神様は日常に在る」
と断言できます。